海外見本市出展の手順とノウハウ
海外出展を成功させるための事前準備と事後処理のチェックリス
−戦略的手順のノウハウ−
長光正明 ©Nagamitsu Masaaki 2003

なお、ここでは出展目的を、合弁先や技術提携先等を求めた海外投資や技術移転などではなく、海外市場へ輸出する場合の出展戦略を想定しています。
1 何を出展し、何を売るかの選定と規制調査
a 出展予定品の選定と見込み顧客の検討
 ・ 展示会場のねらいと訪問顧客の分析と予測
 ・ ターゲットの顧客像−メンテナンス機能を期待できるか
               EUへの出展の場合、CEマーキングのEU内代理人としてはどうか
               販売店か、代理店か
               独占権は与えるか
 ・ 彼らに訴える出展品と訴え方(どのように売るか)の分析と検討
 ・ 製品の選定−仕様の変更の必要性は
          −各種安全認証マーク http://www.ulapex.jp/
          −EUへの出展の場合、CEマーキングの必要性は
           (特に機械や電気製品の場合)
          ※「CEマーキング」と「EC指令」と「EN規格」の関係
          ※CEマーキングについての参考サイト:CEマーキングについて
                                  CEマーキングの概要
                                  CEマーキングの用語
                                  各種規格について
 ・ 出展予定品のリストの作成:
  リストには、ディスプレイ用品及びデモンストレーション用品も、あれば、入れておく。
  また、展示会場での再発送のための再梱包用品も必要に応じ入れておく。
  リスト品の価格(税関用VALUE)は、EXWで作成する。
  各リスト品の、それぞれの梱包について、外梱の形態、材質、サイズ(容積)、重量などを把握の上
  梱包明細を作成する。

b 販売(輸出)予定品の規制調査
 ・ HSコードの調査
 ・ 日本からの輸出規制は
 ・ 予定輸入国(購入の相手国)の輸入規制は

c 出展による知的所有権の検討
 ・ 新規性喪失等に対する例外救済措置
 ・ 外国での特許取得
 ・ 外国への出願
 ・ 特許関係国際条約
 ※日本で既に特許出願済みの出展品の場合の特許の考え方570
2 国際見本市会場の選定−どこの国のどの見本市に出展するのか  
 ・ 出展国の選定
 ・ 見本市の選定
 ※ 世界の見本市についての参考サイト:ジェトロのJ-messe                  
3 出展契約と出入り業者との契約
 ・ 主催者への資料請求
 ・ ブースの場所と面積の取決め
 ・ 主催者との出展契約
  −手引書の入手:出展品等の送り先、搬入日・搬出日などの確認
  −Exhibitorとしての入場バッジ・カードの入手
  −Visitorのための招待状の入手
 ・ ディスプレイ/レイアウト計画(配置計画、図面作成なども)と出入り業者との契約
  −ディスプレイパネル、看板、照明器具、いす、テーブル、VTR、電気配線、水道配管などの手配
   を含む
4 「総合日程表(スケジュール)」の作成−いつまでに何をすべきかの羅針盤
次の項目を含む総合日程表(スケジュール)を作成しておく
 ・ モノの流れの日程:出展品、ディスプレイ用品、デモンストレーション用品などの製作、出荷、搬入
  などを会場指定搬入日から逆算して日程を組む。また搬出などの日程も組む。
 ・ アテンダントの出張旅程
 ・ 各種の準備と手配の日程−次の第5項以降の手順を勘案して作成
5 ホテル、航空券、通訳の手配           
 ・ 旅程の取決め−航空券の手配
 ・ ホテルの選定と手配−会場に近い場所
 ・ 通訳の選定−事前打ち合わせ−通訳者は「にわか販売担当者として強い見方(!?)」
6 展示会場での販促用品の準備と契約交渉のための書類の準備                 
販促用品の準備
a 英文配布資料の作成
−以下の英文資料を作成しておく
 ・ 英文会社案内
 ・ 英文製品パンフレット
 ・ 英文仕様書
 ・ 英文説明書−会場で説明に慌てないため、ポイントをまとめておく
 ・ 英文名刺
 ・ CD−ROM(英語版)

b ポイント説明書の作成

c ディスプレイ用品の準備
 ・ パネルや写真、デモ用ビデオテープ(英語版)等ディスプレイ用品があればその用意を

d デモンストレーション用品の準備
 ・ デモンストレーションができる製品はその用意を

e 会場内で開催されるWorkshopやSeminarへの出展準備−利用する場合

f ATAカルネの申請―通関業者に申請代行を依頼する場合も含む]
 ・ 「ATAカルネ」を利用するかどうかの判断−必ず持ち帰るか、展示即売の可能性は、
  デモ機として置いて帰る可能性は、費用と手間の比較は
 ※ ATAカルネについての参考サイト:ATAカルネ  

契約交渉のための書類の準備
価格表作成
 ・ 販売予定製品のリスト
 ・ 販売予定製品の最低輸出数量
 ・ 輸出用入り明細(1箱の)
 ・ 梱包形態と梱包費用の計算−
   木製梱包の規制(EU,オセアニア、中国、カナダ向けの場合)
   外梱サイズ:たて×横×高さ
   重さ:Net WeightとGross Weight
 ・ EXW価格(輸出価格)の採算
 ・ 支払条件
 ・ 納期
 ・ その他の取引条件の整理(輸出契約としての)
 以上の情報を整理して、価格表を作成する。
販売店契約、代理店契約の場合の取引条件の整理と準備−必要に応じ
7 海外有望企業(見込み客)への出展案内                      
 ・ 海外有望企業(見込み顧客)のリストの用意−リストは出展会場に持参することを忘れずに
 ・ 見本市の主催者からの招待状の入手
 ・ 出展案内状の作成
 ・ 招待状同封の出展案内状のDM発送
8 出展品の日本からの発送                  
 ・上の1‐aで作成した 「出展予定品のリスト」に基づいて、
  出展品インボイス・パッキングリストを作成する
 ・ 出展品、ディスプレイ用品、デモンストレーション用品の発送の手配
 ・ 出展会場での搬入及び搬出の手配
 ・ 個別予定保険の手配
9 出展会場での作業                         
 ・ 出展品の開梱(出展予定品リストとの照合)とディスプレイ及びデモの準備
 ・ 来訪者商談ノートの作成
   来訪日付・時間の記録ー来訪順に記録していく
   商談内容のまとめー要点を項目別に、簡潔に
   来訪者の名刺の入手−持ち合わせのない場合、ノートに次の事項を記載してもらう
    ○「国名、会社名、肩書、名前、電話、FAX、E-mail、URL」
    ○これらの事項は、名刺入手時の確認事項としても重要
 ・ 商談ノートへの来訪者の名刺の貼付
 ・ 会場内の視察と資料の収集と写真記録
  −競合者の分析研究と次回の参考
  −出展者との情報交換
  −出展者への売り込み又は出展者を通じての売り込み
 ・ 出展品の片付けと再発送展示品リスト作成と再梱包
 ・ 展示会場からの出荷のための引渡し
10 帰国後のフォローアップ戦略                 
 ・ 出展品の受取と検品
 ・ [ATAカルネの返納]
 ・ 「来訪者商談ノート」の整理と来訪者への礼状−帰国後、すぐに実行
 ・ 商談時の課題の整理とフォローアップ計画
 ・ フォローアップ計画の実行
11 今後の展開                          
 ・ 展示会場内での収集情報の整理と分析−今後の戦略の組立
 ・ 出展は1回では結論が出ない−少なくとも3回(年1回で3回)は続ける
※上述の『』の書類は、
  当題材のセミナーで利用される予定のものとして、それらの雛型が準備されています。
  ⇒当題材関連セミナーとして静岡で開催されましたセミナーの「ご案内」はこちらをクリック
   してください。

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