国際取引契約書と印紙
長光正明 © Masaaki Nagamitsu 2003

1 課税文書の「作成」の概念
 国際契約書の場合、その契約書を「作成」した場所が、日本であるかどうかにより課税文書(印紙税法上、その文書が課税文書となる場合に)になるかどうかということになる。海外で「作成」された契約書には印紙は不要となる。
 ここで、「作成」とは、契約書に両方の署名がなされて契約書として整うことをいう。つまり、両方のサインが整って初めて契約書が作成されたことになるため。

 従って、契約本文を日本で作成して、日本側のサインをしたものを相手国へ2通送って、相手国で相手側が1通にサインをして送り返してきた場合は、 「作成」した場所は、相手国となり、課税文書にならない。
 この場合、後で税務署から印紙を貼っていないことを指摘された場合に備えて、その経緯をメモして契約書にとめておく。
 相手国で契約本文を作成してサインしたものを2通送ってきて、こちらで2通にサインをして1通を送り返す場合は、「作成」が日本となり、課税文書となる。
2 Sales NoteやPurchase Orderと印紙
 商品や製品などの動産(動産の内、船舶、航空機は除く)の売買契約書(売買の都度、作成のもの)は、印紙は不要。
 但し、売買取引基本契約書を交わす場合は、「7号文書」として印紙4千円。 なお、海外で「作成」されたものは印紙不要。
3 販売店契約書と印紙
 「7号文書」として印紙4千円。なお、海外で「作成」されたものは印紙不要。
4 代理店契約書と印紙
 「7号文書」として印紙4千円。なお、海外で「作成」されたものは印紙不要。
5 ライセンス契約書と印紙
 知的所有権のライセンス契約は、使用契約であるので印紙は不要。
 なお、知的所有権の売買契約は課税文書(1号文書)となる(但し、海外で「作成」されたものは印紙不要)。
6 ソフトウエアの保守契約書と印紙
保守契約は、
「請負」なので
右のようになる
スポット契約の場合で
契約金額の記載のないもの
「2号文書」として
印紙200円
スポット契約の場合で
契約金額の記載のあるもの
「2号文書」として
金額に応じた印紙
印紙税額一覧表
継続契約の場合 「7号文書」として
印紙4千円
 但し、海外で「作成」されたものは印紙不要
 なお、「ライセンス契約」の中に、「保守契約」が規定されている場合は、「7号文書」となり印紙4千円となることに注意。

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