ウィーン売買条約
北海道大学 対訳 国際物品売買契約に関する国際連合条約 (hokudai.ac.jp) https://lex.juris.hokudai.ac.jp/~sono/cisg/cisg_ej.pdf 
・外務省「国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)」https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/treaty169_5.html

ウィキペディアウィーン売買条約
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%B3%E5%A3%B2%E8%B2%B7%E6%9D%A1%E7%B4%84

○ 加盟国
Status: United Nations Convention on Contracts for the International Sale of Goods (Vienna, 1980) (CISG)


○ 香港と台湾の取扱:
香港と台湾は、現在(2009年2月現在)のところ地域として、CISGに加盟していないが、中国が加盟しているため、中国で裁判を起こすとCISGが適用されるであろうが、香港又は台湾で起こすと適用されない可能性が高いと考えられ、適用の明確さに欠けるので、準拠法規定で適用するかどうか明確に規定しておくことが重要であろう。
(外務省国際法務課 03−3580−3311 佐藤さん)

○ CISGの締約国である米国や中国が第95条の第1条第1項(b)の留保宣言国であるということ 
(留保国は、中国、アメリカ以外にアルメニア、チェコ、シンガポール、スロバキア、セントビンセントおよびグレナディーン諸島。)
例1 締約国でないA国のA社と同じく締約国でないB国のB社との売買契約で準拠法を米国法とした場合、米国のCISG第95条留保宣言によりCISGが米国国内法から外されているためCISGの適用はない。準拠する米国法とする州法がUCC を採用している場合、UCCに準拠することになる。従って、この場合のクレーム提起期限(訴追時効)は他にクレーム提起期限について合意のない限り
4年以内となる(UCC2-725)。
例2 例1の場合に、CISG第95条の留保宣言をしなかった締約国のD国法を準拠法とした場合は、CISGの適用排除の合意のない限りCISGが適用される。
例3 締約国でないA国のA社と米国のC社との売買契約の準拠法で米国法とした場合も同様に、米国のCISG第95条留保宣言によりCISGが米国国内法から外されているためCISGの適用はない。従って、準拠する米国法とする州法がUCC を採用している場合、クレーム提起期限(訴追時効)は他にクレーム提起期限について合意のない限り
4年以内となる(UCC2-725)。
例4 例3の場合に、準拠法をA国とした場合、当然、CISGの適用はない。
例5 米国の企業と中国の企業の売買契約の場合、締約国同士なので、CISGの適用排除の合意のない限り、CISGが適用される。

○ 米国との輸出ビジネスにおけるUCC2-725(2nd edition)の訴追時効4年の考え方とウィーン売買条約
(1) 米国内の取引
シアトルの業者とサンフランシスコの業者との売買取引において、クレーム提起期限を決めていない場合、クレーム提起期限はUCC2-725により、商品販売時より
4年以内となる。
(2) 国際取引
a) シアトルの業者と日本の業者との売買取引において、クレーム提起期限を決めていない場合で、日本がCISGに加入後である場合、かつ準拠法の規定がない又はCISG適用排除の規定がない場合、締約国同士の取引となりUCCよりもCISGの規定が優先されるので、CISGにより商品引渡し後
2年以内となる。
b) a)の場合でクレーム提起期限をUCC2-725で制限する1年よりも短い3ヶ月以内と合意した場合、UCCよりもCISGが優先適用され、当事者の合意が優先適用され(CISG第6条)、
3ヶ月以内となる。
c) a)と同様に、シアトルの業者と日本の業者との売買取引において、クレーム提起期限を決めていない場合で、日本がCISGに加入後である場合、かつ準拠法を締約国でない国の法にする場合、その国のクレーム提起期限の規定に従うことになる。

CISG(ウィーン売買条約)の国会審議状況:
衆議院HP http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_gian.htm
参議院HP http://www.sangiin.go.jp/japanese/frameset/fset_c01_01.htm
5月20日衆議院の承認議決を得、30日経過後の6月19日に自動的な承認(自動承認)となるため、先の衆議院の承認の議決が国会の議決となった。これを受けて7月1日に閣議決定(内閣の会議の決定つまり政府の決定)がされ、さらにこれを受けて国連の事務総長に通知をし、通知が届けば、その段階で「条約の加入」(草案時から参加していないので、つまり条約への署名をしていないので、その署名を要件とする「条約の批准」ではない)となり、2009年8月1日発効となる。